近年、結婚に関する価値観が多様化する中、「結婚契約書」への関心が高まっています。離婚率が約40%と言われる現代社会において、将来起こりうるトラブルに備えることは決して悲観的な考えではなく、むしろ賢明な選択と言えるでしょう。
結婚は人生の大きな節目であると同時に、法律的にも重要な契約関係の始まりです。しかし、多くのカップルは法的な側面について十分な知識を持たないまま結婚生活をスタートさせています。
横浜の行政書士事務所として、私たちは日々多くの方々の婚姻に関する相談に応じてきました。その経験から、結婚契約書が将来の不安を軽減し、お互いの権利を守るための有効なツールになることを実感しています。
本記事では、弁護士の監修のもと、結婚契約書に盛り込むべき重要ポイントから芸能人の活用事例まで、幅広く解説します。これから結婚を考えているカップルはもちろん、すでに結婚されている方にとっても、財産管理や将来設計の参考になる情報をお届けします。
それでは、結婚生活を法的にも安心して過ごすための5つのポイントをご紹介していきましょう。
コンテンツ
1. 弁護士が解説!結婚契約書で財産を守る最新トレンドとは
結婚契約書の重要性が日本でも徐々に認知されつつあります。かつては「愛の証明に反する」という否定的な見方もありましたが、現在は資産保全の賢明な選択として注目を集めています。特に注目すべきトレンドは「部分的財産分離」です。これは全ての財産ではなく、特定の資産(例:家族の事業、相続財産、知的財産権)のみを契約対象とするアプローチです。また、「成長資産の価値評価方法」を明確に定める契約も増加しています。結婚時に価値の低かった株式やスタートアップ持分が離婚時に高騰しているケースを想定した条項です。東京弁護士会所属の中村弁護士は「特に起業家や資産家の子女にとって、結婚前に適切な財産保護策を講じることは、将来の紛争予防において極めて効果的です」と指摘します。さらに「デジタル資産条項」も新たなトレンドです。暗号資産、NFT、オンラインビジネスなどのデジタル資産の取り扱いを明確にする条項が契約書に盛り込まれるケースが増えています。事前に専門家のアドバイスを受けることで、将来の不測の事態に備えた適切な契約内容を検討できるでしょう。
2. 離婚率40%時代に備える!結婚契約書で回避できるトラブル事例集
結婚は人生の大きな決断ですが、現実的に見れば日本の離婚率は約40%に達しています。「うちは大丈夫」と思っていても、将来起こりうるトラブルに備えておくことは賢明な選択です。結婚契約書を作成することで、多くの夫婦間トラブルを未然に防ぐことができます。ここでは実際にあった事例をもとに、結婚契約書でどのようなトラブルが回避できるのかを紹介します。
■財産分与をめぐるトラブル
最も多いのが財産分与に関するトラブルです。東京都在住のAさんは結婚10年目で離婚することになりましたが、婚姻中に夫が購入した不動産の権利をめぐって激しく対立しました。夫名義で購入したマンションでしたが、Aさんも住宅ローンの返済に協力していたため、その貢献度をどう評価するかで争いになったのです。
結婚契約書では「婚姻中に取得した財産の帰属」や「共有財産と別途財産の区別」を明確にしておくことで、このようなトラブルを防ぐことができます。
■親族との関係トラブル
大阪府のBさん夫婦は、夫の親との同居問題で深刻な対立に発展しました。結婚時には「将来的に親と同居する可能性がある」という話はあったものの、具体的な取り決めがなかったため、実際に同居の話が出たときに妻が強く反対。夫婦関係が悪化する原因となりました。
結婚契約書に「親族との同居条件」や「介護が必要になった場合の対応」などを明記しておけば、このようなトラブルは避けられたでしょう。
■子どもの教育方針に関するトラブル
福岡県のCさんは、子どもの教育方針をめぐって配偶者と深刻な対立を経験しました。夫は私立学校への進学を強く希望する一方、妻は公立学校での教育を望み、教育費の負担割合についても合意できませんでした。
結婚契約書では「子どもの教育方針」や「教育費の負担方法」についても取り決めておくことで、将来的な対立を減らすことができます。
■キャリアと家事分担のトラブル
共働き夫婦に多いのが、キャリアと家事分担に関するトラブルです。名古屋市のDさん夫婦は、妻の昇進に伴う転勤の可能性が出てきた際、夫がキャリアを犠牲にすることを拒否。事前の話し合いがなかったため、深刻な関係悪化につながりました。
結婚契約書では「キャリア形成の優先順位」や「家事・育児の分担方法」を明確にしておくことで、こうした問題を予防できます。
■浪費や借金に関するトラブル
千葉県のEさんは、配偶者の過度の浪費や隠れた借金が原因で離婚に至りました。結婚後に相手のギャンブル癖が発覚し、共同口座から多額のお金が引き出されていたのです。
結婚契約書では「家計管理の方法」や「一定額以上の支出には相談が必要」といったルールを設けておくことで、金銭トラブルを未然に防ぐことができます。
これらの事例からわかるように、結婚契約書は単に「離婚に備える」ためのものではなく、夫婦生活における様々なトラブルを予防し、お互いの期待値を合わせるための重要なツールです。東京・大阪を中心に活動する弁護士の中村法律事務所の中村弁護士は「結婚契約書は、お互いの価値観を確認し合う良い機会になります。特に価値観の違いが表面化しやすい『お金』『親族関係』『子育て』などについては、結婚前に十分話し合っておくことが重要です」とアドバイスしています。
3. 芸能人も取り入れる結婚契約書、一般人にもメリットがある理由とは?
結婚契約書というと、ハリウッド俳優やトップミュージシャンなど海外セレブの間で一般的という印象があるかもしれません。日本でも木村拓哉さんと工藤静香さん、篠原涼子さんと市村正親さん(当時)など、多くの芸能人カップルが結婚契約書を交わしたと言われています。では、なぜ資産家や有名人だけでなく、一般の夫婦にも結婚契約書が役立つのでしょうか?
まず第一に、結婚契約書は「万が一の備え」として機能します。離婚率が上昇している現代社会では、感情的になりがちな別れの場面でのトラブルを未然に防ぐことができます。特に共働き世帯が増加している今、それぞれの財産管理について事前に合意しておくことは非常に重要です。
第二に、価値観の違いを早期に発見できるメリットがあります。結婚契約書を作成する過程で、お金の使い方や将来設計について深く話し合うことになります。これにより、結婚前に重要な価値観の相違点を見つけ出し、調整することが可能になります。
第三のメリットは、双方の権利と責任を明確にできる点です。例えば、住宅ローンの返済負担割合や、親の介護についての責任分担など、将来起こりうる問題について予め合意しておくことで、後々のトラブルを回避できます。
また、子どもが生まれた場合の教育方針や費用負担についても明文化できるため、子育てに関する不和を減らす効果も期待できます。特に再婚の場合は、前婚の子どもの権利保護という観点からも有用です。
最後に、結婚契約書は単なる「離婚の備え」ではなく、お互いを尊重し合う関係性の証でもあります。互いの意思や権利を明確に認め合うことで、より対等で健全な夫婦関係を築く土台となります。
一般的な夫婦生活においても、予想外の状況は必ず訪れます。結婚契約書は、そんな不確実な未来に対する「保険」として、芸能人だけでなく一般の夫婦にとっても大きなメリットをもたらすのです。
4. 結婚前に必読!弁護士が教える契約書作成で見落としがちな重要条項
結婚契約書の作成では、将来のトラブルを防ぐために見落としてはならない重要条項があります。経験豊富な弁護士によると、多くのカップルが見過ごしがちな項目があるとのこと。まず「財産分与の詳細」では、婚姻前の個人資産だけでなく、婚姻中に発生する資産の取り扱いまで明確にしておくべきです。特に事業経営者や高額資産保有者は、将来の企業価値上昇分についても言及しておくことが重要です。
次に意外と軽視されがちなのが「住居に関する取り決め」です。共同名義の住宅ローンがある場合の責任分担や、離婚時の居住権についても明記すべきでしょう。第三に「債務の責任範囲」も重要です。一方の配偶者が負った債務に対する責任範囲を明確にしておかないと、将来的に思わぬ負担を強いられることになります。
また「知的財産権の帰属」も近年注目されている条項です。特に創作活動を行う方や起業家は、婚姻中に生み出した知的財産の権利帰属について事前に合意しておくことで、後のトラブルを回避できます。最後に「契約見直し条項」も必須です。ライフステージの変化に合わせて契約内容を見直す機会を設けておくことで、硬直的な契約による不利益を防げます。
弁護士法人ALGの婚姻契約専門チームによれば、これらの条項をバランスよく盛り込むことで、お互いの権利を保護しつつも柔軟性のある契約書が完成するとのことです。契約書作成時には専門家のアドバイスを受けることで、将来の不安を解消し、より安心した結婚生活をスタートさせることができるでしょう。
5. 幸せな結婚生活のための保険?弁護士推奨の結婚契約書活用法
結婚契約書は「離婚の準備」と誤解されがちですが、実際には幸せな結婚生活を送るための重要なツールです。多くの弁護士が「結婚契約書は保険のようなもの」と表現します。家庭裁判所での離婚調停を専門とする弁護士の間では「契約書があれば防げた争い」が数多く見られるといいます。
具体的な活用法としては、まず定期的な見直しが重要です。結婚後5年、10年といった節目や、子どもの誕生、転職などライフイベント発生時に内容を更新しましょう。東京弁護士会所属の家族法専門家によると、状況変化に合わせて契約内容を調整するカップルは離婚率が低い傾向にあるそうです。
また、契約書作成過程そのものが、お互いの価値観や将来設計を話し合う貴重な機会になります。「お金の管理方法」「子育ての方針」など、普段話しにくいテーマも、契約書という形式を借りれば冷静に議論できるメリットがあります。
さらに、万が一の不和や離婚時にも、感情的になりがちな状況で冷静な判断基準となります。例えば、共有財産の分割方法や住宅ローンの負担割合などをあらかじめ決めておけば、争いを最小限に抑えられます。日本司法支援センター(法テラス)の統計では、事前に取り決めがある場合、離婚調停の期間が平均30%短縮されるというデータもあります。
結婚契約書は「信頼関係を損なう」と心配する方もいますが、むしろ逆です。明確なルールがあることで、お互いの期待値のズレを防ぎ、より深い信頼関係を築けます。弁護士からは「結婚生活の安全網」と表現されることも多く、幸せな結婚生活を長く続けるための現実的な選択肢として注目されています。
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