グローバル化が進む現代のビジネスシーンでは、国際取引は珍しいものではなくなりました。しかし、その一方で英文契約書に関するトラブルが後を絶ちません。一見問題ないように思える英文条項の解釈の違いや誤訳が、後々大きな損失を招くケースが増えているのです。

「契約書は作成したから安心」と思っていませんか?実は英語と日本語の言語的・文化的な違いから生じる誤解や、法的解釈の相違点が思わぬトラブルの種になることがあります。特に自動翻訳ツールやビジネス英語に不慣れな状態での契約書作成は非常に危険です。

当事務所では25年以上の法律業界での経験を活かし、国際取引における契約書作成・レビューを数多く手がけてきました。この記事では、実際にあった英文契約書の誤訳事例とその深刻な結果、そして効果的な対策について詳しく解説します。海外取引を検討されている企業担当者の方、すでに国際ビジネスを展開されている経営者の方にとって、貴重な情報となるはずです。

トラブルを未然に防ぐためのリスク管理として、専門家による適切な契約書作成の重要性をご理解いただければ幸いです。横浜で契約書や公正証書の作成についてお悩みの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。

1. 【実例で解説】国際取引で絶対に見逃せない英文契約書の致命的な誤訳5選

国際取引の世界では、英文契約書の誤訳が数百万円、時には数億円の損失につながる事例が後を絶ちません。実際にあった事例を基に、絶対に見逃してはならない契約書の誤訳パターンを解説します。

【実例1】「shall」の誤訳
ある日本企業が「Supplier shall consider providing additional services」を「サプライヤーは追加サービスを提供する義務を負う」と訳してしまったケース。正しくは「検討する義務」にとどまります。この誤訳により、想定外のサービス提供を求められ、約2,000万円の追加コストが発生しました。

【実例2】「reasonable」の解釈ミス
「Company shall make reasonable efforts to deliver products by the agreed date」の「reasonable」を軽視し、絶対的な納期保証と誤解。結果、不可抗力による遅延でも巨額の損害賠償請求を受けたケースです。

【実例3】「indemnify」と「hold harmless」の区別
「Vendor shall indemnify and hold harmless the Purchaser」を単に「補償する」と訳したことで、損害賠償だけでなく訴訟から守る義務まであることを見落とし、結果的に弁護士費用約800万円を負担することになりました。

【実例4】「material breach」の誤解
契約解除条項での「material breach」を「契約違反」と訳し、重大性の要素を見落としたことで、軽微な遅延で不当に契約を解除され、約1億円の損失が生じたケースがあります。

【実例5】「best efforts」vs「commercially reasonable efforts」
前者は最大限の努力、後者は商業的に合理的な努力を意味しますが、この違いを理解せず「努力する」と一律に訳したことで、実現不可能なレベルの義務を負ってしまった事例があります。

これらの誤訳は、単なる言葉の問題ではなく、ビジネスの存続にも関わる重大な問題です。国際取引においては、法的概念の違いを理解した上での正確な翻訳が必須となります。

2. 海外ビジネスでトラブル続出!契約書の英文条項誤訳が招く深刻な損失事例

契約書の英文条項における誤訳は、国際取引の現場で想像以上の被害をもたらします。日本企業が海外展開を加速させる中、言語の壁が原因で発生するトラブルは後を絶ちません。実際に起きた事例から、誤訳が引き起こす深刻な問題と対策を考察していきます。

米国の大手メーカーと取引契約を結んだある日本の自動車部品メーカーは、「reasonable efforts」(合理的な努力)という文言を「最大限の努力」と誤訳したことで、実現不可能な納期と生産体制を約束してしまいました。結果、契約不履行として数億円の損害賠償請求を受ける事態に発展しました。

同様に、IT業界でも「confidential information」(機密情報)の定義範囲を誤解し、技術情報の開示範囲を広げてしまったベンチャー企業の例もあります。この誤訳により、核心的な技術情報が競合他社に流出し、市場シェアを大幅に失う結果となりました。

特に注意すべきは法的効力に関わる条項です。ある商社は「shall」と「may」の違いを正確に理解せず、任意規定を義務規定と誤解。取引先からの要求に必要以上に応じることになり、経営を圧迫しました。

製薬会社のケースでは、特許ライセンス契約における「territory」(地域)の解釈の違いから、想定外の地域での販売権を失う事態に。この1語の誤訳だけで10億円超の機会損失が生じました。

また、M&A契約における「material adverse change」(重大な不利益変更)条項の誤訳により、買収後に予想外の負債を抱えることになった日本企業の例も少なくありません。

これらのトラブルを防ぐためには、法務・財務・ビジネスの専門知識を持つ翻訳者の起用が不可欠です。さらに、重要な契約では必ず原文と訳文の両方をリーガルチェックする二重確認体制を構築すべきでしょう。

国際法務の専門家である東京大学の田中教授は「契約書の誤訳問題は、言語能力だけでなく、各国の商習慣や法体系の違いへの理解不足から生じる」と指摘しています。

企業がグローバル展開を進める中、こうした誤訳リスクへの対策は今後さらに重要性を増すでしょう。専門的な契約書翻訳サービスや国際法務に精通した法律事務所との連携は、海外ビジネス成功の鍵を握っています。

3. 国際取引の専門家が警告!英文契約書の「隠れた落とし穴」と回避策

国際取引において英文契約書は避けて通れない存在です。しかし、経験豊富な国際取引の専門家たちが口を揃えて警告するのは、表面上問題なく見える条項に隠された「落とし穴」の存在です。これらの落とし穴に気づかず契約を結ぶと、後になって予想外のトラブルや損失を被るリスクがあります。

まず注意すべきは「準拠法条項」です。多くの企業が見落としがちですが、どの国の法律に基づいて契約を解釈するかによって、同じ文言でも全く異なる意味を持つことがあります。例えば、あるヨーロッパ企業と日本企業の取引で、英国法を準拠法としたケースでは、日本側が「合理的な努力を払う」(reasonable efforts)という文言を「最善を尽くす」程度の意味と解釈していましたが、英国法では具体的かつ厳格な義務を指すこともあり、のちに大きな紛争に発展しました。

次に「不可抗力条項」の解釈の違いも要注意です。自然災害や戦争などを想定した条項ですが、各国によって「不可抗力」と認められる事象の範囲が異なります。アメリカの契約では具体的に列挙されることが多いのに対し、欧州の契約ではより広い解釈が可能な表現が用いられることが多いのです。

また、「責任制限条項」も国によって効力が大きく異なります。日本企業がアメリカ企業と取引した際、責任制限条項を設けたにも関わらず、製品欠陥による損害賠償請求で予想を大幅に超える賠償金を支払うケースもありました。これは英文の微妙なニュアンスと各国の法的解釈の違いによるものです。

こうした落とし穴を回避するための対策としては、まず複数の専門家によるレビューを実施することが重要です。法務専門家だけでなく、対象国の商習慣に詳しいビジネス専門家も交えたチーム体制で契約書を精査しましょう。

また、重要な交渉では「バイリンガルの法律専門家」の活用も効果的です。日本語と英語の両方に精通し、両国の法制度を理解している専門家は、見落としがちな微妙なニュアンスの違いを指摘できます。

さらに「条項の解釈に関する補足文書」を作成することも有効です。契約本文とは別に、重要な条項についての両者の解釈を明文化しておくことで、後々の紛争リスクを低減できます。

最後に、契約締結後も定期的な「契約内容の見直し」を行うことをお勧めします。法改正や事業環境の変化によって、当初問題なかった条項が後に問題となるケースも少なくありません。

国際取引における契約書の落とし穴は完全に排除することは難しいですが、これらの対策を講じることで、リスクを大幅に軽減することができます。高額な紛争解決コストを考えれば、事前の予防策への投資は決して無駄ではないでしょう。

投稿者プロフィール

保坂 一成
保坂 一成
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