テレワークやオンライン会議が日常の一部となり、ビジネスや個人の取引形態も大きく変化しました。しかし、便利になった一方で、「メールやチャットだけのやり取りで済ませてしまい、後で言った言わないのトラブルになった」というご相談が増えているのも事実です。

顔が見えにくいオンラインの時代だからこそ、お互いの信頼を守り、トラブルを未然に防ぐための「効力のある書面」を作成することが何よりも重要です。

法律業界で25年以上の経験を積み、横浜で契約書や公正証書の作成を専門とする当事務所では、単に形式的な書類を作るのではなく、「まずトラブルにさせないこと、万が一何かが起きてもトラブルを悪化させないこと」を最優先に考えたリスク予防のための書面作りを行っています。

本記事では、テレワーク環境下における契約条項のポイントや、電子契約と紙の契約書の使い分け、さらには心理カウンセラーの資格を持つ行政書士ならではの視点で、画面越しの交渉における不安を解消する秘訣について解説します。あなたの権利を守り、安心して生活や事業を進めるためのヒントとしてお役立てください。

1. テレワーク環境での「言った言わない」を未然に防ぐ!リスク予防に特化した契約条項の作成ポイント

テレワークの普及により業務のスピード感は格段に上がりましたが、同時に契約上のリスクも形を変えています。特に深刻なのが、オンライン会議やビジネスチャットでのやり取りに起因する「言った言わない」のトラブルです。対面での署名・捺印を前提とした従来の契約書雛形をそのまま使用していると、デジタル環境での紛争解決に対応できず、不利な状況に追い込まれるケースが後を絶ちません。

行政書士の視点から、このデジタル特有のリスクを最小限に抑えるための契約条項作成のポイントを解説します。

まず着手すべきは、「連絡手段と合意形成の定義」を契約書内で明確に条文化することです。従来の契約書によくある「書面による通知」という文言だけでは、SlackやChatwork、Microsoft Teamsといったチャットツールでの合意が法的に有効な意思表示として扱われるか曖昧になる可能性があります。トラブル時には「チャットのスタンプは合意とは認められない」と主張されるリスクさえあります。

そこで、契約書の一般条項(通知条項)には、「本契約における通知、連絡または承諾は、電子メールまたは甲乙が別途合意したビジネスチャットツールを用いて行うものとし、当該電磁的記録をもって書面に代えることができる」といった文言を加え、デジタルのログを正式な証拠として認める規定を設けることが不可欠です。

次に重要なのが、「仕様変更や修正指示のルール化」です。ZoomなどのWeb会議で口頭にて仕様変更を依頼し、その場では合意したつもりでも、後になって「追加費用の話は聞いていない」「スケジュールの延長は認めていない」といった認識のズレが表面化しがちです。これを防ぐため、「Web会議等で仕様変更の協議を行った場合、協議終了後速やかに決定事項をメールまたは指定のチャットツールで共有し、相手方の承諾を得ること」を義務付ける条項を盛り込みます。議事録の確定プロセスを契約上の義務として組み込むことで、記憶違いによる紛争を未然に防ぐことができます。

また、電子契約サービス(クラウドサインやDocuSignなど)を利用して契約を締結する場合は、そのサービスの利用規約と整合性が取れているかも確認が必要です。電子署名の法的効力や、タイムスタンプによる存在証明など、技術的な裏付けを理解した上で契約条項を設計することが、テレワーク時代のリスク管理において極めて重要となります。曖昧な口約束を排除し、デジタルログを味方につける契約書を作成することで、安心してオンライン業務に専念できる環境を整えましょう。

2. 電子契約と紙の契約書はどう使い分ける?行政書士が解説する法的効力とオンライン対応の注意点

テレワークやリモートワークが定着した現代において、ハンコを押すためだけに出社する「ハンコ出社」を見直す動きが加速しています。そこで注目されているのが電子契約ですが、すべての契約を直ちにデジタル化して良いのか、迷われる経営者や個人事業主の方は少なくありません。ここでは行政書士の視点から、電子契約と紙の契約書の賢い使い分けと、導入時の法的な注意点について解説します。

まず大前提として、電子契約と紙の契約書の法的効力は原則として同等です。日本の民法において契約は当事者の意思表示の合致によって成立するものであり、形式は問われないからです。しかし、ビジネスにおいては「合意があったこと」を後から証明する証拠能力が極めて重要になります。そのため、契約の内容や目的に応じて適切な形式を選択する必要があります。

電子契約と紙の契約書の使い分け基準

1. 電子契約を活用すべきケース**
スピード感やコスト削減が求められる取引に適しています。
* 印紙税を節約したい場合: 電子データで締結された契約書は印紙税法上の課税文書に該当しないため、請負契約書や金銭消費貸借契約書などを電子化することで収入印紙代をゼロにできます。
* 秘密保持契約書(NDA)や発注書: 頻繁に取り交わす書類や、業務開始前に急いで締結したい書類は、クラウド上の電子契約サービスを使うことで郵送の手間と時間を大幅に削減できます。
* 更新手続き: 既存取引先との契約更新など、すでに信頼関係がある場合も電子化による効率化のメリットが大きいです。

2. 紙の契約書を選択すべきケース**
法令による制約や、相手方との関係性を重視する場合です。
* 公正証書が必要な契約: 事業用定期借地権設定契約や任意後見契約など、公証役場で作成する公正証書が必要なものは、原則として対面手続きや書面作成が関わります。
* 法令で書面化が義務付けられている場合: 法改正により不動産取引の重要事項説明書など多くの書類で電子化が解禁されていますが、一部の特殊な契約や、相手方の承諾が得られない場合は書面交付が必要です。
* 相手方が電子契約に消極的な場合: 取引先が従来の社内規定で「社判の押印がある原本」を必須としている場合、無理に電子化を求めると取引に支障をきたす恐れがあります。

オンライン対応における法的注意点

電子契約を安全に運用するためには、単にPDFをメール添付するだけでなく、電子署名法や電子帳簿保存法に対応した仕組みが必要です。

* 本人性と非改ざん性の確保: 「誰が契約したか」を証明する電子署名と、「いつ契約され、その後変更されていないか」を証明するタイムスタンプが付与される電子契約サービスを利用してください。これにより、裁判等の場でも紙の契約書の押印と同等の証拠能力が認められやすくなります。
* データの保存管理: 契約締結後のデータは、電子帳簿保存法の要件(検索機能の確保や保存期間など)を満たして管理する必要があります。バックアップ体制も含め、消失リスクに備えることが重要です。

契約の形態が紙であれ電子であれ、最も重要なのは「契約条項の中身」です。ツールを導入して便利になったとしても、条文自体に不利な内容や不備があれば元も子もありません。デジタル化を進めると同時に、契約書の内容そのものを専門家によるリーガルチェックで見直すことが、トラブルを未然に防ぐ最良の手段です。

3. 画面越しの交渉に不安を感じる方へ、心理カウンセラーの資格を持つ専門家が教える円滑な合意形成の秘訣

テレワークの普及により、ZoomやMicrosoft Teams、Google MeetといったWeb会議ツールを使用した商談や契約交渉が日常的になりました。しかし、対面とは異なり「相手の空気感がつかめない」「微妙なニュアンスが伝わりにくい」といった不安を抱える方は少なくありません。行政書士としての法務知識に加え、心理カウンセラーの視点を取り入れることで、オンライン特有の緊張感を解きほぐし、トラブルのない契約締結へと導くことが可能です。

まず理解すべきは、オンラインコミュニケーションにおける「非言語情報」の欠如です。対面では全体の雰囲気や小さな仕草から相手の心情を読み取れますが、画面越しでは得られる情報が限定されます。心理学において信頼関係の構築を意味する「ラポール」を形成するためには、通常よりも意識的なリアクションが必要です。カメラを相手の目と見立てて視線を合わせる、相槌を普段の1.5倍大きく打つといった工夫は、相手に「しっかり話を聞いてもらえている」という安心感を与えます。

また、契約交渉においては「可視化」が心理的な不安を取り除く最大の武器になります。口頭だけで条件を詰めようとすると、「言った言わない」のリスクが高まり、双方の疑心暗鬼を生みます。画面共有機能を活用し、契約書のドラフトや箇条書きにした合意事項をリアルタイムで提示しながら話を進めましょう。視覚情報として条件を共有することは、交渉の透明性を高め、相手の警戒心を解く効果があります。これは誤解による心理的ストレスを防ぎ、スムーズな合意形成を促す重要なテクニックです。

さらに、交渉終了直後のフォローも重要です。会議が終わったらすぐに、決定事項や保留事項をまとめたメールを送付してください。これは単なるビジネスマナーではなく、法的な証拠保全の第一歩であり、相手に対して誠実さを示す心理的アプローチでもあります。行政書士が作成する契約書は、こうした積み重ねられた合意の結晶です。心理的な障壁を取り払い、円滑なコミュニケーションを行うことが、結果として法的にも強固で、双方にとって納得感のある契約書作成につながるのです。

オンラインでの契約交渉に苦手意識を持つ必要はありません。ツールを適切に使いこなし、心理的な配慮を加えることで、対面以上の信頼関係を築くことは十分に可能です。

投稿者プロフィール

保坂 一成
保坂 一成
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