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先日、あるお客様から切実なご相談をいただきました。「ニュースで法律が変わるという話を聞いて、急に将来が怖くなったんです」と、不安そうな表情で事務所を訪ねてこられたのは、お一人で暮らされている70代の女性でした。ご家族とは疎遠になっており、もし自分が認知症になって判断能力が低下してしまったら、財産管理や施設への入所手続きは誰がしてくれるのか、と夜も眠れない日々を過ごされていたそうです。

じっくりとお話を伺った私たちは、ご本人が元気なうちに将来の支援内容や代理人を決めておく「任意後見契約」の活用をご提案しました。そして、その契約内容を確実なものとするために、公正証書での作成をサポートさせていただきました。複雑な手続きを一つひとつクリアし、無事に書類が完成した際、「これでやっと安心して老後を迎えられます。心のつかえが取れました」と、安堵の涙とともに晴れやかな笑顔を見せてくださった瞬間は、私たちスタッフにとっても忘れられない光景となりました。

このように、将来への備えとして非常に有効な「任意後見制度」ですが、社会情勢の変化に伴い、制度の見直しや法改正の議論が進んでいることをご存知でしょうか?特に2026年に向けて注目されている改正点や、それに伴う公正証書作成時の注意点は、これから手続きを検討される方にとって見逃せない情報です。

そこで今回は、最新の法改正動向を踏まえ、任意後見契約を結ぶ際の重要なポイントや、行政書士が推奨するトラブル回避の秘訣について詳しく解説いたします。大切な財産と生活を守るために、ぜひ最後までお読みいただき、これからの準備にお役立てください。

1. 【相談事例】法改正のニュースを見て将来の不安を感じ相談に来られたお客様のエピソード

都内在住の70代女性、A様からのご相談事例です。A様は「ニュースで成年後見制度の仕組みが大きく変わるという話を聞きました。将来、判断能力が低下した際に備えたいのですが、今の制度のまま手続きを進めても大丈夫なのでしょうか」と、非常に不安な表情で来所されました。身寄りはお近くに住む甥御さんだけで、ご自身の老後資金の管理や施設入所の契約などを任せたいと考えておられましたが、報道で耳にした法改正の話題がブレーキをかけていたのです。

A様が特に懸念されていたのは、「制度が見直されて使いやすくなるなら、今はまだ何もしない方が良いのではないか」「今の法律で作った契約が、将来無効になったり不利になったりしないか」という点でした。メディアなどで取り上げられる「利用者の意思尊重への転換」や「期間限定の利用」といったキーワードが、逆に現状での決断を鈍らせていた典型的なケースと言えます。

実際、国の方針として制度の柔軟化に向けた議論は活発に行われていますが、認知症の発症や体調の急変は法改正のスケジュールを待ってはくれません。A様には、法改正の議論はあくまで「制度をより利用しやすくするための改善」が目的であり、現行の「任意後見制度」を活用して公正証書を作成しておくことは、将来の法改正後も有効な意思表示として機能することを丁寧に説明しました。

特に任意後見制度は、裁判所が後見人を選ぶ法定後見とは異なり、元気なうちに「誰に」「何を」任せるかを自分で決められる契約です。この契約を公証役場で公正証書として作成しておくことは、制度の過渡期においても、ご自身の権利と財産を守るための最も確実な防衛策となります。A様は「法律が変わるのを待つリスクの方が大きい」と理解され、甥御さんと共に公正証書の作成手続きに進まれました。このように、法改正のニュースに惑わされず、現在の制度下で最大限の法的効力を持つ準備をしておくことが、多くのシニア世代にとって急務となっています。

2. 2026年から何が変わる?任意後見制度の改正ポイントと公正証書作成時の新たな注意点

超高齢社会の進展に伴い、認知症などによる判断能力の低下に備える「任意後見制度」の重要性は年々高まっています。特に2026年は、成年後見制度利用促進基本計画の進捗や民法改正の議論を受け、制度の運用実務や公正証書の作成基準において大きな転換点となると予想されています。これまでの「財産管理」偏重から、本人の生活の質を維持するための「身上保護(身上監護)」をより重視する方向へシフトしているのが最大の特徴です。

ここでは、今後予想される制度の変更点や議論のトレンドを踏まえ、これから公正証書を作成する際に絶対に押さえておくべきポイントを解説します。

任意後見監督人の選任に関する運用の変化

任意後見制度においてこれまでネックとなっていたのが、任意後見契約の発効時に家庭裁判所によって選任される「任意後見監督人」の存在です。監督人が選任されると報酬が発生するため、利用をためらう要因となっていました。

2026年に向けた議論や実務の傾向として、この監督人の選任要件や関与の度合いについて、より柔軟な運用が検討されています。具体的には、親族が後見人になる場合と専門職がなる場合とで監督体制にメリハリをつける、あるいは定期的な報告義務の負担を軽減するといった方向性が模索されています。公正証書を作成する際は、将来的に監督人の報酬が発生することを見越し、その費用負担についても契約条項に明確に盛り込んでおく必要があります。

身上保護の具体化とライフプランの明記

従来の任意後見契約では、預貯金の管理や不動産の処分といった財産管理に関する代理権目録が中心でした。しかし、最新のトレンドでは「どのような介護を受けたいか」「どの施設に入居したいか」といった身上保護に関する希望を詳細に反映させることが求められています。

公正証書を作成する公証役場でも、単なる定型文ではなく、本人の「ライフプラン」や「意思決定支援」に基づいた具体的な条項作りを推奨する動きが強まっています。例えば、日本公証人連合会などが示す指針を参考に、医療同意に近い内容や住居の確保に関する具体的な希望を「特約」として盛り込むケースが増えています。これにより、判断能力が低下した後でも、本人の望む生活スタイルを法的に守ることが可能になります。

デジタル資産への対応が必須に

2026年の公正証書作成において避けて通れないのが「デジタル資産」への対応です。ネット銀行の口座、証券口座、サブスクリプション契約、SNSアカウントなどの管理・処分権限を明記していない場合、後見人がアクセスできずに手続きが難航するトラブルが急増しています。

古い雛形をそのまま使用せず、デジタル遺産やデジタル資産のID・パスワード管理、解約権限についても代理権目録に具体的に記載することが、現代の任意後見契約における必須事項です。

作成時の新たな注意点まとめ

これから任意後見契約を結ぶ際は、以下の3点を意識して専門家や公証人と相談してください。

1. 監督人報酬のシミュレーション: 将来発生するランニングコストを契約段階で想定しておく。
2. 身上保護の詳細化: 「安心できる老後」のために、介護や医療に関する希望を具体的に文章化する。
3. デジタル条項の追加: インターネット上の財産や契約に関する権限を漏れなくリストアップする。

制度は常に使いやすく、実態に即した形へと変化しています。古い情報のまま契約してしまうと、いざという時に「使い勝手が悪い」「希望が叶わない」という事態になりかねません。最新の法務トレンドを反映した公正証書を作成し、将来の安心を確実に手に入れましょう。

3. トラブルを未然に防ぎ安心な老後を!今から始める準備と行政書士への相談活用法

任意後見制度は、将来の判断能力低下に備えるための強力なツールですが、契約内容が不十分であったり、運用方法を誤ったりすると、かえって親族間の争いや財産管理上のトラブルを招くことがあります。特に、受任者が財産を私的に流用してしまうリスクや、必要な医療・介護契約の手続きが代理権目録に含まれておらず、いざという時に権限を行使できないといったケースは後を絶ちません。こうした事態を避け、制度のメリットを最大限に享受するためには、判断能力がはっきりしている元気なうちから綿密な準備を進めることが重要です。

まず着手すべきは、自身の財産状況と将来の希望を明確にする「ライフプランの棚卸し」です。預貯金、不動産、有価証券などの財産目録を作成し、将来どのような施設で暮らしたいか、医療についての希望は何かを整理しておきましょう。このプロセスを経ることで、任意後見契約の際にどの範囲まで代理権を与えるべきか具体的に判断できるようになります。

しかし、法的な効力を持つ公正証書の原案をご自身だけで作成するのはハードルが高い作業です。ここで活用したいのが、予防法務の専門家である行政書士への相談です。行政書士は、依頼者の意向を法的要件を満たした文章に落とし込み、公証役場の公証人との事前打ち合わせを代行するなど、公正証書作成完了までをトータルでサポートします。

行政書士に依頼する最大のメリットは、個々の事情に合わせたオーダーメイドの契約設計が可能になる点です。例えば、判断能力が低下するまでの間、定期的に連絡を取り合って安否確認を行う「見守り契約」や、万が一の際の葬儀や納骨などの手続きを委任する「死後事務委任契約」を、任意後見契約とセットで締結する提案を受けられます。これにより、認知症発症前から亡くなった後の手続きまで、切れ目のない安心を手に入れることができます。

相談先を選ぶ際は、成年後見業務に精通した専門家を探すことが大切です。例えば、日本行政書士会連合会が設立した「一般社団法人コスモス成年後見サポートセンター」に所属する行政書士は、定期的な研修を受けており、倫理規定に基づいた適正な業務遂行が期待できます。専門家の知見を借りることで、将来の法改正や社会情勢の変化にも柔軟に対応できる、盤石な備えを整えましょう。安心な老後は、正しい知識と専門家との連携から始まります。

投稿者プロフィール

保坂 一成
保坂 一成
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